多の中の個

何か書きたいなとエディタを開いてみても、思いつくのはどうにも仕事に対するぼやきばかりで、そんな誰が聞いても面白くもなんとも無いものを残す気にもなれずにエディタを閉じるの繰り返し。そんなわけでお久しぶりになってしまっておりました。やっとの一日お休みをもらえた今日はばりばり本を読むぞというわけで、読んだ本のお話を。

光の帝国 常野物語 (集英社文庫)

光の帝国 常野物語 (集英社文庫)

蒲公英草紙 常野物語 (集英社文庫)

蒲公英草紙 常野物語 (集英社文庫)

なんとなく手に取っただけだったのですが、いやこれがまた面白い面白い。不思議な力を持った常野という一族のお話です。「光の帝国」が現代のお話で短編なのに比べて、「蒲公英草紙」は少し昔を舞台にした長編。どちらも常野の人々が出てきます。この常野一族のルーツとして出てくるのが私の地元、宮城県なんです(お話に出てくる具体的な地名はさすがに架空のものですが)。この常野シリーズはファンタジー作品(と公式にも書かれていました)のようですが、地元が舞台のせいなのかファンタジー=空想のお話ではなく、本当は私の身近にも常野の人たちは存在していて見えない敵と戦ったり、今も誰かを「しまう」旅に出ていたりするのではないかと、真実のお話のように思えてしまいます。ただ自分が知らないだけで、確実に存在し、動き、始まり、終わっていることはこの世界にはどれだけあるんだろう……そう考えるともう何が本当だか分からなくなってきて、自分という存在がこの地面、地球、宇宙と広がっていく世界の中であまりにもあまりにも小さいものだと感じた瞬間、頭がじんわりと痛み、どうしようもなく無気力になってしまうのです。幼い頃から私はこのような一種のゲシュタルト崩壊のような、他人から見れば気持ち悪い一人遊びを行うことがあります(他にもこのような感覚に陥る方法として、「なんで人間は死ぬのに生まれてくるのか」という問いをずっと考え続けて無限ループに陥る方法があります)。
まぁ、そんなことをしてもいつも最後に行き着くのはぐぅぐぅと鳴る腹の音の止め方をまず考えることであり、今も今とておなかが空いているわけです。さ、そろそろご飯食べよう。何だこのオチ。